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新居の収納計画|荷解き前に決めておくと片付く

公開日:2026年8月25日

引っ越しの当日、部屋の真ん中に段ボールが積み上がって身動きが取れなくなる。とりあえず箱を開けて、出てきたものを近くの棚に押し込む。数日後、探し物が見つからず箱を開け直す。半年経っても開いていない箱が押し入れの奥に残っている。私はこの光景を本当によく見ますし、原因はたいてい一つです。荷物を入れる前に、どこに何をしまうかを決めていないのです。

収納計画というと大げさに聞こえますが、やることは単純です。新居の収納スペースを測り、持ち物をおおまかに分類し、「この収納にはこのグループを入れる」と先に割り当てておく。それだけで、荷解きは「箱を開けて指定の場所に置く」という作業に変わります。判断しながら片付けるのと、決まった場所に置くだけなのとでは、かかる時間がまったく違うと感じます。

収納は荷解きをしながら決めるものではなく、荷物が届く前に決めておくものです。置き場所が決まっていれば、荷解きは判断のいらない単純作業になります。

この記事の内容
  1. 内見・契約の段階で収納スペースを測っておく
  2. 「どこで使うか」で置き場所を決める
  3. 荷造りの段階で収納計画を仕込む
  4. 搬入当日から荷解きを進める順番
  5. 新居の収納計画まとめ|先に決めれば荷解きは作業になる

内見・契約の段階で収納スペースを測っておく

収納計画の出発点は、新居にどれだけの収納があるかを数字で把握することです。間取り図に「押入」「CL(クローゼット)」と書いてあっても、実際の奥行きや枕棚の高さまでは分かりません。内見のときに巻尺を持っていって、幅・奥行き・高さ・ハンガーパイプまでの高さの4つを測っておくと、後の計画がぐっと楽になります。

特に見落とされやすいのが奥行きです。押し入れは奥行き80cm前後、洋室のクローゼットは60cm前後が一般的な目安ですが、物件によって差があります。奥行き60cmの棚に奥行き45cmの収納ケースを入れると手前に隙間が余り、逆に80cmの押し入れに45cmのケースだけを並べると奥が完全な死蔵空間になります。この差は、住み始めてから気づいても手遅れになりがちです。

測る場所測る項目使い道
クローゼット幅・奥行き・パイプまでの高さ衣装ケースの段数、丈の長い服が入るか
押し入れ幅・奥行き・中段の高さ布団の収まり、ケースの重ね方
枕棚・天袋奥行き・床からの高さ季節物や使用頻度の低いものの置き場
キッチン吊戸棚幅・奥行き・下端の高さ手が届く範囲の確認
洗面台下・シンク下内寸・排水管の位置収納用品が入るかの判断
玄関収納幅・段数・1段の高さ靴の収納量、ブーツが入るか

※ 数値は一般的な目安です。物件により異なるため、必ず実測してください。

内見時に測るのは「幅・奥行き・高さ・パイプまでの高さ」の4つ。これだけで収納用品選びの失敗はかなり減ります。

高さも同じくらい重要です。クローゼットのハンガーパイプまでの高さが分かれば、その下に何段の衣装ケースが置けるかが計算できます。コートやワンピースなど丈の長い服を掛ける場所を確保するなら、パイプの下は空けておく必要があります。ここを考えずにケースを買い揃えると、長い服の裾がケースの上に乗って皺になる、という地味に困る状態になります。

契約後に鍵を受け取ってから改めて測れる場合は、そのタイミングでもう一度確認しておくと確実です。内見のときは他の入居希望者もいて落ち着いて測れないことがありますし、記録し忘れた箇所も出てきます。スマートフォンで各収納の内部を撮影しておくと、荷造りをしながら見返せて便利です。

なお、収納を増やそうとして壁に棚を取り付ける場合は注意が必要です。賃貸では、賃借人は退去時に原状回復義務を負います(民法第621条)。通常の使用による損耗や経年変化は対象外とされていますが、ビス穴を開ける工事は借主の負担と判断されることがあります。突っ張り式や置き型の収納から検討したほうが安全だと私は考えます。

「どこで使うか」で置き場所を決める

収納場所を決めるときに、多くの人が「同じ種類のものをまとめる」という発想で組み立てます。文房具は文房具、薬は薬、というように。ただ実際に暮らしてみると、使う場所の近くにあるかどうかのほうが、片付けが続くかどうかを左右すると感じます。

たとえば爪切りを洗面所の引き出しに入れたとして、実際に爪を切るのがリビングのソファなら、毎回取りに行くことになります。そのうち面倒になってリビングのテーブルに置きっぱなしになる。これが散らかりの始まりです。逆に、使う場所の手が届く範囲に定位置があれば、戻すのに労力がかからないので自然と片付きます。

そこでおすすめしたいのが、部屋ごとではなく「行動ごと」に持ち物を並べ直す作業です。朝起きてから出かけるまで、帰宅してから寝るまで、自分の一日をたどりながら、どこで何を使うかを書き出していきます。荷造りの合間にメモ書き程度で構いません。この作業をしておくと、収納の割り当てが具体的になります。

「同じ種類でまとめる」より「使う場所の近くに置く」を優先すると、戻す手間が減って散らかりにくくなります。

分け終わったら、それぞれのグループを収納スペースに割り当てます。ここで意識したいのが高さです。腰から目線までの高さは最も出し入れしやすい範囲なので、毎日使うものを入れます。その下のかがむ範囲には週に数回使うもの、天袋や吊戸棚の上部には年に数回のものを置く。使用頻度と高さを対応させるだけで、日々の動作がかなり減ります。

もう一つ、家族で暮らす場合は「誰が使うか」も判断材料になります。子どもが自分で出し入れするものは、子どもの背丈で届く高さに置かないと、結局は親が毎回取ってあげることになります。共用のものは全員が分かる場所に、個人のものはそれぞれの部屋にという線引きを最初に決めておくと、後から揉めにくくなると感じます。

一人暮らしで収納が足りない場合は、無理に全部を屋内に収めようとせず、使用頻度の低いものを別の場所に預ける選択肢もあります。ただし費用が継続的にかかるので、まずは持ち物を減らす方向で検討したほうが合理的だと思います。

引っ越し費用の目安を先に知っておくと、この記事の内容も判断しやすくなります。

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荷造りの段階で収納計画を仕込む

収納計画がいちばん効いてくるのは、実は荷造りのときです。箱に詰める段階で行き先が決まっていれば、搬入時に箱を正しい部屋へ運んでもらえます。逆にここを曖昧にすると、リビングに全部の箱が集まって、そこから各部屋へ運び直すという二度手間が発生します。

具体的には、箱の側面に「部屋名」と「中身」と「開ける優先度」の3つを書きます。上面ではなく側面に書くのは、積み重ねたときに見えなくなるためです。私は4面すべてに同じことを書く人を見たことがありますが、それくらいで丁度いいと感じます。

記載項目書き方の例目的
部屋名キッチン/寝室/洗面搬入時に運ぶ先を指示できる
中身毎日使う食器・鍋探し物のときに開ける箱が分かる
優先度1(当日)/2(3日以内)/3(後日)開ける順番が決まる
取扱注意ワレモノ・天地無用積み方に配慮してもらえる
収納先吊戸棚/シンク下荷解き時に迷わない

もう一歩踏み込むなら、箱に「収納先」まで書いてしまう方法があります。「キッチン/シンク下」「寝室/クローゼット上段」というところまで指定しておけば、荷解きの際に迷う余地がありません。全部の箱でやる必要はなく、点数が多くて分類が面倒なもの(食器・衣類・書類)だけでも効果があります。

優先度の付け方はシンプルで構いません。当日中に必要なもの(寝具・洗面用具・着替え・トイレットペーパー・充電器・カーテン)が「1」、3日以内に使うものが「2」、それ以外が「3」です。この「1」の箱だけは他と分けて、最後に積んで最初に降ろしてもらうようにすると、初日の夜が本当に楽になります。

箱には「部屋名・中身・優先度」を側面に書く。搬入先を指示できる箱は、それだけで荷解きが半分終わっているようなものです。

なお、引越業者に荷解きまで頼めるかどうかは契約内容によります。標準引越運送約款では、荷造りや荷解きは運送に付随する業務として扱われ、依頼するかどうかは見積もりの段階で取り決めるのが一般的です。プランによって範囲が違うので、「どこまでやってもらえるのか」は契約前に確認しておいてください。

また、収納用品を新調する場合は、荷物より先に新居へ届くように手配しておくと段取りが良くなります。搬入当日に衣装ケースが届いていれば、その場で服を移せます。逆に後から届くと、一度どこかに仮置きして、また移し替えることになります。

搬入当日から荷解きを進める順番

当日、トラックが到着する前にやっておきたいことがあります。各部屋の入口に、どの箱をどこに置くかを紙で貼っておくことです。「この部屋はキッチン」「この壁際に優先度3の箱」と書いた紙があるだけで、作業員に毎回口頭で指示する必要がなくなります。搬入は思った以上に慌ただしく、その場で考える余裕はありません。

荷解きの順番にもコツがあります。私が勧めるのは、水回りと寝るための場所を先に整えるやり方です。キッチン・洗面所・トイレ・寝室を先に使える状態にしてしまえば、残りの箱が片付いていなくても生活は成立します。逆にリビングの飾り棚から手をつけると、いつまでも生活が始まりません。

タイミングやることねらい
搬入前各部屋に置き場所の貼り紙をする指示の手間を減らす
搬入直後カーテンを付ける夜間の目隠しを確保する
初日寝具・洗面用具・着替えを出すその日のうちに休める状態にする
2〜3日目キッチンと洗面所を使える状態に自炊と身支度を再開する
1週間以内衣類とクローゼットを整える毎日の動線を確定させる
1か月以内残った箱を開けるか手放すか判断死蔵品を作らない

荷解きは「水回りと寝室から」。生活が成立する状態を先に作れば、残りは焦らず進められます。

初日にカーテンを付けることは、意外と忘れられがちですが優先度が高い作業です。夜になると室内の明かりで中がよく見えますし、日当たりの良い部屋では翌朝の日差しで早くに目が覚めてしまいます。カーテンレールの長さは内見時に測っておき、既製サイズで合わない場合は事前に手配しておくと安心です。

そして、1か月経っても開けていない箱があったら、それは中身を思い出せないということです。私はこの箱を開けずに手放すことを勧めていますが、抵抗があるなら一度開けて中身を確認し、使う予定のないものを選り分けてください。次の引っ越しでもう一度運ぶことになるかどうかは、ここで決まります。

収納が足りないと感じたときも、すぐに収納用品を買い足さないほうがいいと思います。ケースを増やせば入る量は増えますが、その分だけ持ち物が固定されます。まず一度、住みながら1〜2週間過ごしてみて、本当に手が届かない場所や動線の悪い場所を見極めてから買い足すほうが、無駄が少なく済みます。

新居の収納計画まとめ|先に決めれば荷解きは作業になる

ここまでを整理します。収納計画の本質は、荷解きの最中に発生する「これはどこにしまおう」という判断を、事前に片付けておくことにあります。判断が済んでいれば、荷解きは箱を開けて置くだけの単純作業になり、疲れていても手が動きます。逆に判断を先送りすると、疲労がたまった搬入日の夜に、いちばん頭を使う作業が残ることになります。

手順は4段階です。内見や契約時に収納の幅・奥行き・高さを実測する。持ち物を「使う場所」ごとに分けて、各収納に割り当てる。荷造りのときに箱へ部屋名・中身・優先度を書く。搬入当日は貼り紙で置き場所を指示し、水回りと寝室から荷解きを進める。この順番を守るだけで、散らかった状態が続く期間は大幅に短くなります。

収納用品は、実測してから買うのが鉄則です。奥行きが合わない収納ケースは、その場所を死蔵空間に変えてしまいます。搬入より先に届くよう手配しておけば、当日そのまま衣類や食器を移せて、仮置きの手間が省けます。逆に、住み始める前にすべてを揃えようとすると、使わないケースが余ることも珍しくありません。最初は必要最小限にとどめ、1〜2週間暮らしてみて足りない分を買い足すくらいが、結果的に無駄が少なく済むと感じます。

収納計画は「決める作業」を前倒しするだけのもの。荷物が届いてから考えると、判断と作業が同時に押し寄せて破綻します。

そして、収納の総量には限界があります。計画を立てる過程で「これは入りきらない」と気づいたら、それは持ち物を減らす合図です。引っ越しは持ち物を見直せる数少ない機会ですし、荷物が減れば運送料金も下がります。処分の判断は旧居にいるうちに済ませるのが合理的です。

最後に一つ。完璧な収納計画を作ろうとしなくて大丈夫です。住んでみないと分からないことは必ずありますし、暮らしながら微調整していけば十分です。大事なのは、荷物が届く日に「どこに置くか」の大枠が決まっていること。それだけで、新生活の最初の1週間はまったく違うものになると私は感じています。

よくある質問

収納計画はいつから始めればいいですか?

内見や物件の契約が済んだ時点、遅くとも荷造りを始める前がおすすめです。収納の寸法さえ分かっていれば、荷造りをしながら「この箱はこの収納へ」と決められます。荷物が届いてから考えると、判断と作業が同時に発生して手が止まります。

収納用品はいつ買うのがいいですか?

新居の収納を実測してから買ってください。奥行きが合わないケースは空間を無駄にします。搬入日より先に新居へ届くよう手配できると、当日その場で衣類などを移せて効率的です。ただし買いすぎには注意で、住んでみて足りない分だけ買い足すほうが無駄が出にくいです。

段ボールには何を書けばいいですか?

「部屋名」「中身」「開ける優先度」の3つを箱の側面に書くのが基本です。積み重ねると上面は見えなくなるため側面が確実です。部屋名を書いておくと、搬入時にそのまま各部屋へ運んでもらえるので、後から運び直す手間がなくなります。

賃貸で壁に棚を取り付けても大丈夫ですか?

契約内容によります。賃借人には退去時の原状回復義務があり(民法第621条)、通常損耗や経年変化は対象外とされていますが、ビス穴などは借主負担と判断されることがあります。契約書の特約を確認し、判断に迷う場合は管理会社に相談してください。突っ張り式や置き型から検討するのが無難です。

引っ越しの荷解きが終わらない原因は、作業量の多さそのものではなく、一つひとつの箱を開けるたびに「これはどこへ」と考えなければならないことにあります。判断は作業より疲れますし、判断が続くと手が止まります。

だからこそ、荷物が届く前に決めておく意味があります。収納を測る、持ち物を使う場所で分ける、箱に行き先を書く。この3つを済ませておけば、当日以降は考えずに手を動かすだけになります。

新居に入った最初の1週間の過ごしやすさは、引っ越し前の1時間の計画でほとんど決まります。荷造りを始める前に、一度だけ新居の収納と向き合う時間を取ってみてください。

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